Accessデータを自動的にExcelにコピーする方法と効率化の秘訣

2023年7月15日

はじめに

ビジネスやプロジェクト管理など、多くの場面でデータの取り扱いが必要となります。その中でもAccessは、使いやすさと柔軟性を兼ね備えたデータベースツールとして広く利用されています。しかし、AccessのデータをExcelに手動でコピーする作業は面倒で時間がかかります。そこで、本記事ではAccessデータを自動的にExcelにコピーする方法を紹介します。この方法を活用することで、作業効率を大幅に向上させ、データ処理にかかる手間や時間を節約することができます。

なぜAccessのデータをExcelにコピーする必要があるのか?

Accessはデータベース管理に優れた機能を持ちながらも、Excelはデータの視覚的な整理や分析に優れた機能を持っています。AccessのデータをExcelにコピーすることで、以下のような利点があります。

1. データの視覚化: Excelの表やグラフ機能を活用することで、Accessのデータをよりわかりやすく可視化することができます。重要な指標や傾向を一目で把握できるため、意思決定やレポート作成に役立ちます。

2.データの編集と加工: Excelの強力な編集機能を使用して、Accessのデータを柔軟に編集したり、必要な情報を抽出したりすることができます。データのフィルタリングやソート、計算式の適用など、さまざまなデータ処理が可能です。

3.データの共有と連携: Excelは一般的な表計算ソフトウェアとして広く普及しており、多くの人が利用しています。AccessのデータをExcelにコピーすることで、他のチームメンバーや関係者とデータを共有しやすくなります。さらに、Excelを使用して他のアプリケーションとのデータ連携も容易に行えます。

AccessデータをExcelに自動コピーするメリット

本記事で紹介するAccessデータを自動的にExcelにコピーする方法には、以下のようなメリットがあります。

1.作業効率の向上: 手動でデータをコピーする手間を省くため、作業時間が大幅に短縮されます。特に大量のデータや定期的なデータ更新が必要な場合には、自動化は非常に効果的です。

2.正確性と信頼性の向上: 手動の操作に比べて自動化されたプロセスは、ヒューマンエラーやミスのリスクを減らすことができます。データの正確性と信頼性が高まり、意思決定や分析における信頼性も向上します。

3.リアルタイムのデータ更新: Accessのデータを定期的にExcelに自動コピーすることで、常に最新のデータを手に入れることができます。リアルタイムなデータ更新により、迅速な意思決定やタイムリーなレポート作成が可能となります。

以上のようなメリットを享受するために、次の手順でAccessデータを自動的にExcelにコピーする方法をご紹介します。

サンプルアプリ利用方法

「Accessからデータ取り込み」ボタンをクリックします。
クエリ「首都圏勤務社員一覧」から社員Noと氏名、勤務地、通勤手当のデータがExcelにコピーされます。

処理内容

以下は使用するVBAコードの概要です。

1.変数の定義: 必要な変数を定義します。
2.既存データの削除: Excel上の既存のデータを削除します。
3.ファイルパスの指定: Accessファイルのパスを指定します。
4.ADOコネクション・レコードセットオブジェクトの作成:
  Accessとの接続に使用するADOコネクションとレコードセットオブジェクトを作成します。
5.Accessファイルを指定: Accessファイルを指定します。
6.AccessのデータをExcelへコピー:
  レコードセットをループ処理し、データをExcelの指定したセルにコピーします。
7.オブジェクトのクローズ: レコードセットとコネクションをクローズします。

コード   アプリの作成手順はこちら

以下が実際のVBAコードです。
実行した際に連携エラーが発生した場合は下記リンク先の対処方法で回避できます。
 https://scodebank.com/?p=696

Option Explicit

Sub Sample()

  Dim i As Long    'カウント変数の定義
  Dim DBpath As String 'ファイル名変数の定義
  Dim adoCn As Object 'ADOコネクションオブジェクト変数の定義
  Dim adoRs As Object 'ADOレコードセットオブジェクト変数の定義
  
  'データ最終行列を入れる変数を定義
  Dim myLastr As Long
  Dim myLastc As Long
    
  'データ最終行を取得
  myLastr = Trim(Str(Cells(Rows.Count, 2).End(xlUp).Row))

  'データ最終列を取得
  myLastc = Trim(Str(Cells(6, Columns.Count).End(xlToLeft).Column))
    
  '既存のデータを削除
  Range(Cells(6, 2), Cells(myLastr, myLastc)).ClearContents
  
  '当Excelファイルがあるカレントパスを取得
  Dim xPath  As String
  With ActiveWorkbook
    xPath = .Path & "\"
  End With
  
  '接続するファイルのフルパスを設定
  DBpath = xPath & "\サンプルDatabase.accdb"
  
  'ADOコネクションオブジェクトを作成
  Set adoCn = CreateObject("ADODB.Connection")
  
  'ADOレコードセットオブジェクトを作成
  Set adoRs = CreateObject("ADODB.Recordset")
    
  'Accessファイルを指定
  adoCn.Open "Provider=Microsoft.ACE.OLEDB.12.0;" & _
             "Data Source=" & DBpath & ";"
  
 'Accessの表を指定
  adoRs.Open "首都圏勤務社員一覧", adoCn
  
  'AccessからExcelへデータコピー
  i = 6  'スタート行指定

  Do Until adoRs.EOF 'レコードセットが終了するまで処理を繰り返す
  
    Cells(i, 2) = adoRs.Fields("社員No").Value
    Cells(i, 3) = adoRs.Fields("氏名").Value
    Cells(i, 4) = adoRs.Fields("勤務地").Value
    Cells(i, 5) = adoRs.Fields("通勤手当").Value
    
    i = i + 1      '行をカウントアップ
    adoRs.MoveNext '次のレコードに移動
    
  Loop
 
  adoRs.Close 'レコードセットのクローズ
  adoCn.Close 'コネクションのクローズ
  
  'オブジェクトを破棄
  Set adoRs = Nothing
  Set adoCn = Nothing

End Sub

上記のコードをExcelのVBAエディタに貼り付けて実行することで、Accessの「首都圏勤務社員一覧」というクエリからデータをExcelに自動的にコピーすることができます。
この方法を使用すると、Accessのデータを手動でコピーする手間を省き、効率的なデータ処理を実現できます。

ただし、注意点があります。上記のコードはサンプルであり、実際の環境に合わせて修正する必要があります。例えば、Accessファイルのパスやクエリ名など、適切な情報に置き換える必要があります。また、カラム名1やカラム名2などは、実際のテーブルのカラム名に適切に変更する必要があります。

実行する前に、以下の手順でコードをカスタマイズしてください。

ファイルパスの指定: Accessファイルのパスを変数DBpathに正確に指定します。例えば、DBpath = “C:\データベースファイル.accdb"のようになります。
クエリの指定: Accessのクエリ名をadoRs.Openの引数として正確に指定します。例えば、adoRs.Open “クエリ名", adoCnのようになります。
カラムの指定: データをコピーするために使用するカラム名を、各Cells(i, j)のjに正確に指定します。例えば、Cells(i, 2) = adoRs.Fields(“社員No").Valueのようになります。
これらの修正が完了したら、VBAエディタでコードを実行します。Accessの「首都圏勤務社員一覧」というクエリから取得したデータが、指定したセルに自動的にコピーされます。

この方法を使用すると、データ処理や集計作業を効率化し、時間と手間を節約できます。Accessデータを簡単かつ迅速にExcelにコピーすることができますので、ぜひお試しください。

注意: この記事に掲載されているコードはサンプルです。必要に応じてセキュリティやエラーハンドリングなど、追加の機能を実装することをお勧めします。